以前、愛犬との旅行準備の一例として「クレートトレーニング」を取り上げました。

今回は、そのやり方やクレートが役に立つ場面についてペットアドバイザーとしてご活躍されている「こばヤン」先生に解説してもらいました!

この記事でわかること
✅ クレートはメリットがいっぱい(災害時、移動時)
成犬からでもできるクレートトレーニング
✅ クレートトレーニングの基本や注意点
✅ 無理なく愛犬と楽しみながらトレーニングを行う方法
✅ クレートトレーニングQ&A

これからクレートトレーニングを始めるわんちゃんも、これまでもやってみたけど、どうも上手くいかないまま大きくなっちゃったというわんちゃんも、ぜひ「こばヤン」先生の方法を試してみてくださいね!

この記事を監修した人
こばヤン
こばヤン(ペットアドバイザー)

愛玩動物飼養管理士をはじめ、数々のペットに関する資格を保有。オンラインでペットに関するの相談にのったり、ブログで情報を発信するなど各方面で活躍中です。

そもそもクレートってなに?ケージやバリケンとの違いは?

「クレート」とは、犬を移動させる時に入っていてもらう、犬専用の持ち運びケースのことです!

こちらです!
使っている方も多くいらっしゃると思います。

クレートのことをバリケンと呼ぶ場合もありますが、これは「バリケンネル(Vari Kennel)」というアメリカの会社の商品名からきています。

愛犬とのドライブ、旅行の際には、わんちゃんが「クレート」の中で大人しくしてくれていると非常に便利ですが、その時になって急に用意しても嫌がって入ってくれない子もいます。

この記事では、わんちゃんも飼い主さんも無理なく、楽しくトレーニングができる方法を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

ちなみに、ケージとは本来は下記のような柵のことを言いますが「クレート」という名称がそこまで浸透していないので、クレートのことをケージと呼ぶ人もいます。

実際には持ち運びできるケースが「クレート」、お家の中などで囲っておく柵が「ケージ」です。

クレートを使うことのメリット

まず、クレートを使うことができるようになると何が良いのか、メリットをお伝えします!

犬は新しい環境といった自分の知らないことをストレスに感じます。

クレート=安心できる場所

になっていると愛犬のストレスを軽減する事ができます!

クレートを使えるようになると、日常生活の様々な場面で役に立ちます。

✅ 災害の時
✅ 車や電車での移動時
✅ 旅行の時
✅ 通院の時

クレートのメリットその1:災害時

特に重要なのが災害時に役立つ事です!

たくさんの人の集まる避難所では、犬アレルギーなどを持っている人もいるので、クレートに入れないと受け入れてもらえない場合もあります。

また、ペット受け入れ可であっても、飼い主さんとは別々のスペースが設けられているところがほとんどです。

そんな時にクレートに慣れていれば、わんちゃんが感じるストレスも軽減されますし、飼い主さんも災害で大変な時に、ひとまず安心できます。

いつ起こるかわからない災害のためにも、クレートトレーニングをしておきましょう。

クレートのメリットその2:旅行時

愛犬との旅行時には車を利用する方が多いと思いますが、急ブレーキでびっくりした愛犬が車内で暴れてしまうようなことも防げます。

また、万が一の事故の際にも、クレートに入ってシートベルトで固定していれば、愛犬の怪我のリスクを最小限に抑えられます。

電車移動の際にもクレートに慣れているとクレート=安心できる場所なので、周りの環境に左右されることが少なくなります。

ホテルや旅館などの宿泊施設では、社会性やしつけをされていることを受け入れ条件としているところも多いです。

また、ペット受け入れ可能でも、施設のすべての場所に入れないことも多く、例えば飼い主さんが食事をしている間は、わんちゃんだけお部屋で待っていないといけない場合もあります。

そんな時もクレートトレーニングができていれば、お部屋でお留守番もできるし、お部屋の備品などを壊してしまう心配もなくなります。

クレートトレーニングの基本

クレートトレーニングとは、

愛犬が「クレート」に飼い主さんの指示で自分から入るための練習

のことをいいます。

愛犬が飼い主さんの指示で自分から入ると聞くと、「難しい」「自分にはできない」と思う飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、犬の心理をよく理解しトレーニングをしていくことで

コミュニケーション+しつけ

の両方が可能になります!

これから私が紹介する方法は、愛犬と飼い主さん双方が日常でもストレスのない生活が送れるようになるためのものです。
「難しい」と頭でっかちにならずに、ゲーム感覚で愛犬と一緒に楽しみながらやってみてください。

愛犬と楽しくできるクレートトレーニングの方法

犬にとってクレートとは、初めは「なんだろう?こわいな?でも入ってみたいな」といった、興味はあるけど怖い感覚です!

クレートトレーニングをすると、クレート=安心できる場所 になり、

「落ち着く、安心する!ここは自分の場所だ!」と感じるようになります。

この感覚を教えてあげることがトレーニングのポイントになります。

トレーニングは、STEP1~7まで紹介します。
わんちゃんによって慣れるまでの差が大きいので一概には言えませんが、各ステップ1~2週間の余裕を持ってトレーニングするようにしましょう。

今回は、クレートトレーニングが初めての1歳のスプーンちゃんに実践してもらいます!

クレートトレーニングは、個々のわんちゃんによっても慣れていくスピードが違います。

一番重要なことは、できないことがあっても無理やりクレートに入れたり、怒ったりしてはいけません。

わんちゃんの様子を見ながら焦らずに進めていきましょう。

クレートトレーニングの注意点も後述していますので、トレーニングを始める前には必ずこちらもご覧ください。

それでは始めましょう!

STEP 1 : クレートの存在に慣れてもらう

まずはクレートの存在に慣れてもらいます!

普段わんちゃんが過ごしているお部屋にクレートを置き、クレートの中にお気に入りのおもちゃやおやつを入れてみましょう。

わんちゃんがクレートに興味を持ち出したら、STEP2にうつります。

STEP 2:クレートの中に誘導する

おもちゃやおやつをクレートの奥に入れながら、クレートの中へ誘導します!

わんちゃんが入れたら「よくできたね、いい子だね」と優しく声をかけたり、撫でたりして、たくさん褒めてあげましょう。

STEP 3:クレートの中でリラックスしてもらう

ステップ2でクレートの中に入ることができたら、次はクレートの中でリラックスしてもらいましょう。

いつでも出られるように扉は開けたままの状態で行います。

STEP 4:STEP 1〜3 をくりかえす

まずは、STEP1〜3を繰り返し、クレートの中に居られる時間を少しずつ増やしていきましょう。

好きなおもちゃやおやつをあげたり、飼い主さんの匂いのするものなどを入れて、クレートの中でリラックスできる環境を作ってあげることがポイントです。

わんちゃんが自分からクレートの中に入れたら、
とにかく「よくできたね、いい子だね」とたくさん褒めてあげてくださいね。

STEP 5:「ハウス」と声を掛ける

STEP1〜3を繰り返し、自分から入って行くようになったら、クレートに入った時に「ハウス」と声をかけます。

何回か繰り返すと、今度は「ハウス」と声をかけると自分からクレートに入ってくれるようになります。(すぐにはできない子も居るので、焦らず!)

STEP 6:扉を閉めてみる

「ハウス」の掛け声で入るようになったら、ここで初めて扉を閉めてみます。

扉を閉めるのは最初は1秒間だけでも大丈夫です。

わんちゃんの様子をよく観察して、吠えたり、開けて!というような出たがる仕草をする前に扉を開けます。

扉を開けて出てくる時に、またしっかりと「良くできたね」などと、褒めてあげましょう。

STEP 7:扉を閉めている時間を長くしていく

今度は、扉を閉めて中に居られる時間を長くしていきます。

1秒から10秒、10秒から30秒、30秒から1分といった感じで、ゆっくり進めていきます。

中におもちゃを置いて遊ばせたり、おやつをあげたりしても大丈夫です。

ポイントは、わんちゃんがおもちゃやおやつに飽きて、吠えたり、開けてと要求する前に飼い主さんが扉を開けてあげることです。

わんちゃんが吠えてから開けると「吠えれば開けてくれる」と習慣づいてしまう可能性があります。

扉を閉めている状態に慣れるまでは、愛犬の様子を良く観察して、ゆっくり根気強く進めていきましょう。

そして、扉をあけて出てくる時には、しっかりたくさん褒めてあげることも忘れずに!

クレートトレーニングの注意点

クレートトレーニングには、愛犬と飼い主さんの信頼関係がとても重要です。

以下では、クレートトレーニングの際に陥りがちな飼い主さんの行動の注意点をリストアップしてみました。

注意点その1:焦らない

まずは焦らずにトレーニングを行うことです!

なぜなら、わんちゃんは人の気持ちを良く感じ取ります。

飼い主さんが焦ってしまうと、わんちゃんは飼い主さんがなぜ焦っているのか分からないのに、焦りだけが伝わってしまい、トレーニングも集中力が低下してしまいます。

注意点その2:計画にゆとりを持たせる

今日はここまでできたらいいな。という飼い主さん側の都合もあるかも知れませんが、できるだけわんちゃんに寄り添って、焦ってはいけません。

ステップの1~7までは、それぞれ1~2週間の余裕を持って準備していけるとよいですが、すぐに慣れてしまう子もいれば、なかなか慣れない子もいます。

例えば、「旅行に行くから〇〇日までにクレートで移動できるように慣れさせたい」などのご希望があるのであれば、2~3ヶ月の余裕をもってトレーニングを計画しておきましょう。

注意点その3:失敗しても怒らない

失敗しても怒らないことは、クレートトレーニングにおいて非常に重要です。

怒ってしまうと、クレートに対してのイメージが悪くなってしまいます。

次からクレートに入りたがらなくなってしまったり、頭の良いわんちゃんは、クレートに近寄ることすらしなくなってしまうかも知れません。

注意点その4:おやつだけがご褒美ではない

うまくできた時にはご褒美をあげることを
「ご褒美=おやつ」
と思っている方も多いですが、ご褒美は何もおやつだけに限りません。

「ご褒美」とは、愛犬にとって良いこと
なので、うまくできた時には、優しく撫でてあげたり、「すごいね!」と褒めてあげることでも、わんちゃんにとっては充分ご褒美なのです。

できた時はしっかり褒める!を意識してトレーニングを行うと、「コミュニケーション+しつけ」ができるようになります。

クレートトレーニング Q&A

せっかくの機会なので、Withわんにお寄せいただいたクレートトレーニングに関する質問をペットアドバイザーの「こばヤン」さんに聞いてみました。

Q.クレートトレーニングって成犬からでもできるの?

A.できます!ただし、注意すべきこともあります。

今回はトレーニングに参加してくれたのは、1歳の成犬スプーンちゃんでした。
スプーンちゃんは比較的すんなりクレートを受け入れてくれましたが、すべての子がすぐできるようになるとは限りません!

注意点でもお伝えしたように、飼い主さんが焦るとわんちゃんにも焦りが伝わってしまいます。

わんちゃんによって、クレートトレーニングに掛かる時間はまちまちですので、とにかく焦らずにゆっくり行うことがポイントです。

Q.クレート選びのポイントを教えて下さい。

A.愛犬がクレートの中でちょうど360度(くるりと一周)回れる大きさが理想です。

小さすぎると窮屈で入れない、または入ってくれません。
また、大きすぎるとトイレをしてしまうこともあるので向いていません。

Q.クレートに入れると吠えたり、鳴いたりする場合は?

A.原因を探ることで解消できる場合もあります。

問題行動全てにおいていえることですが、まずは原因を考えましょう。

もし、クレートの扉を閉めると吠えるのなら、扉を閉めずに滞在できる時間を増やしてあげるなど、まずは原因を見つけて対処していくようにしましょう。

クレートの上にタオルや毛布をかけて、外を見えなくしてあげることで落ち着く子もいますが、吠えている原因がそもそもクレートを怖いと思っている子なら、タオルをかけると逆効果になってしまうこともあります。

なんで吠えているのか、愛犬を良く観察して原因を探ってみてください。

クレートトレーニングを無理なく楽しく行う方法・まとめ

今回は、ペットアドバイザーの「こばヤン」さんに、クレートトレーニングの基本から、順を追ったステップ、注意点などを解説してもらいました。

愛犬に「クレート=安心できる場所」と思ってもらうことで、旅行のときだけではなく、災害時や普段の生活にもクレートが役に立つことがわかりました。

また、クレートトレーニングを行う上で、注意すべき点についても解説していただきました。

  • 飼い主さんと愛犬の信頼関係を築くこと
  • 焦らずに愛犬のペースに合わせてトレーニングすること
  • 安心できる場所と思ってもらえるように、失敗しても怒ってはダメ

これらのことを念頭に置きながら、わんちゃんも飼い主さんも双方が楽しくトレーニングを行えるといいですね。

ぜひ、まだクレートトレーニングをされてない方は、ぜひこの機会に挑戦してみてくださいね!


愛犬との遠出や旅行の準備はこちらも参考にしてください。

愛犬との旅行までにしておきたいしつけや準備

獣医師監修【愛犬との旅行】に向けての準備。クレートトレーニング、しつけ、必要な持ち物、便利グッズなど – Withわん | 愛犬お出かけ口コミ(クチコミ)サイト

獣医師・桜井えみ先生が解説する旅行までの準備スケジュール。トレーニング、持ち物の準備は「旅行の前日にすればいい!」というものではなく、時間をかけての準備が必要です。旅先が決まらなくても「愛犬と旅行がしたい!」と思い立った時から、すぐに始めましょう。愛犬との旅行を準備万端で楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。


この記事を監修した人
こばヤン
こばヤン(ペットアドバイザー)

愛玩動物飼養管理士をはじめ、数々のペットに関する資格を保有。オンラインでペットに関するの相談にのったり、ブログで情報を発信するなど各方面で活躍中です。

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