最近のキャンプブームや新型コロナの影響に伴い、愛犬と一緒にキャンプやアウトドアなどに出かける方が増えてきました。

大自然のなかで周りを気にせず愛犬と駆け回って遊べるのはとても楽しいですよね。

ただ、自然が多い場所ゆえに潜む危険・トラブルも多くあります。

今回の記事では、キャンプ場やアウトドアで起こりがちな犬のトラブルと、その予防や回避法について、Withわんブログではお馴染みの獣医師でペットライターの桜井えみ先生に専門家の立場から解説していただきました。

監修者:桜井えみ先生(獣医師資格保有 ペットライター)

愛犬とのキャンプはメリットがたくさん!

新しい経験がわんちゃんと飼い主さんの絆を深くするよ♪

大自然には危険が潜んでいると聞くと可愛いわんちゃんを「連れて行くのは辞めようかな?」思ってしまう飼い主さんもいるかも知れません。

でも、それは勿体無いです。

きちんとした準備、正しい知識を身につけることで危険を回避できますし、何より、わんちゃんとキャンプをするメリットはたくさんあります。

特に都会で暮らしている犬にとって、大自然の中でのびのび過ごすことは、動物としての本能を刺激し、ストレスや運動不足の解消にもなります。

わんちゃんは、普段とは違う外の匂いや空気、飼い主さんとの様々な経験や、場合によっては他の生物とのふれあいを通じて、新しいことにチャレンジし成長していきます。

人も犬も一緒に楽しめるところがキャンプの良いところで、一緒に何かをするということが、双方にとって貴重な経験になり、お互いの信頼関係を深めることにも繋がります。

Withわん

わぁ〜楽しそうワン!
正しい知識を身につけてキャンプしたいワン!

こんなわんちゃん達にもキャンプはおすすめ!

キャンプ施設では、サイズや頭数に制限がないところも多いため、ホテルでは泊まるところを探すのが大変な、大型犬や多頭飼いのお家の方にもおすすめです。

また、犬嫌いな子や十分にまだしつけがされていない子でも、キャンプ場であれば自由なタイミングで少しお散歩に出たり、車の中でクールダウンさせたりできるのでホテルのような窮屈さを感じずに済みます。
(ただし、キャンプサイトによっては社会性を求められるところもあるので、確認が必要です)

これから旅行先を決めるという方は、「愛犬の性格別おすすめの旅行先」もぜひ参考にしてください♪

獣医師監修【愛犬との旅行】旅行先の決め方、選び方、注意点|ポイントやわんこの性格別おすすめの旅先とは? – Withわん | 愛犬お出かけ口コミ(クチコミ)サイト

獣医師の桜井えみ先生に、愛犬との旅行先の決め方やポイント、わんちゃんの性格別のおすすめの旅先を解説してもらいました。以下では、獣医師の観点からおすすめの愛犬の性格別の旅行先を考えてみましたので、ご自身のわんちゃんの性格と照らし合わせて、愛犬と一緒に楽しく旅行をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

愛犬とキャンプ【危険を把握して正しい予防を!】<準備編>

ホテルなどに比べ、大自然の中で自由に過ごせるキャンプですが、アウトドアならではの病気や危険があります。

キャンプを楽しむためには、きちんとした知識を身につけた上で、病気や危険に対しての備えが必要です。

まずは「愛犬とキャンプに行きたい!」と思った時からしなければならない準備です。

  • 必要な予防接種やワクチン
  • ノミ、ダニの予防

<準備編>では、上記の2点に関して気をつけなければならないことを確認し、適切な予防法を解説します。

大切!感染症の予防-レプトスピラ症ワクチンとは?

新型コロナウイルスの出現により、ウイルスやワクチンのことについての知識は一般にも広まってきていますが、犬にとっても気をつけなければならないのはコロナウイルスだけではありません。

野生動物の多い地域で必要なワクチンがあります!

わんちゃんを様々な感染症から守る「ワクチン」は、2~11種ほどあり、予防したい病気によって種類を組み合わせた「混合ワクチン」があります。

一般的に致死率の高い感染症のための混合ワクチンは3~6種で、ほとんどのわんちゃんが子犬の頃から接種していると思われますが、ワクチンの種類は、動物病院や病気の流行っている地域によってばらつきがあります。

野生動物の多い山や海、自然の多い地域でキャンプを楽しむ場合には、「レプトスピラ症」予防の入ったワクチンを接種することを推奨します。

「レプトスピラ症」とは、レプトスピラ菌という細菌により引き起こされる感染症です。

レプトスピラ菌は主に野生のネズミ・感染している動物の尿に排泄されて、土や水の中に潜み、人や動物に皮膚や粘膜を介して感染します。

この細菌に感染しても症状が出ないこともありますが、場合によっては急性の腎不全・発熱などの症状が起こり命にかかわることもあります。

自然の多い場所へ行く予定がある場合には、「レプトスピラ症」予防の入った混合ワクチンを受けましょう。レプトスピラ症だけのワクチンを追加実施している動物病院もあります。

いずれにしても、ワクチンを受けて免疫ができるまでには2週間前後かかりますので、キャンプの予定が決まったら早めにかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。

ノミ・ダニ予防をしよう

「キャンプに行ったら愛犬の体にノミやダニがついてしまったので取ってほしい」と受診する飼い主さんも多くいます。

ダニは一度咬みつくとなかなか離れないので厄介です。飼い主さんが無理やり取ろうとするとダニの体がちぎれて口の部分だけ皮膚に残ってしまったということもよくあります。

ノミ・ダニの怖いところは皮膚炎や痒みを起こすだけでなく、感染症・寄生虫を媒介することです。

特にダニの媒介する病気は、人間にも重篤な症状を引き起こすものも報告されているので注意が必要です。

様々なタイプのノミ・ダニの予防薬があり、フィラリアの予防も同時にできるオヤツタイプのものや、皮膚に滴下するタイプなど愛犬に合わせて投与が可能です。

1回投与すれば1カ月効果が続くものが多いのでキャンプ等に行く前に投与しましょう。

なお、市販で売られているノミ・ダニ予防薬の多くはあくまで「忌避剤」なので、ノミ・ダニに寄生されても駆虫はできません。できれば動物病院で処方されるものを使いましょう。

愛犬とキャンプ【危険を把握して正しい対策を!】<実践編>

キャンプやアウトドアでは、わんちゃんにとって普段とはまったく違う環境なため、いつもならしない思いも寄らない行動をすることがあります。

以下では実際にキャンプ場やアウトドアで発生することが多い、4つのトラブルについて予防や対処の方法を解説していきます。

キャンプやアウトドアで多い愛犬トラブル

  • 脱走
  • 蛇や虫、野生動物との接触
  • BBQ中の誤食、誤飲
  • 熱中症(または寒さによる病気)

愛犬とキャンプに潜む危険その1:脱走

大自然に触れて、いつも以上に興奮したわんちゃんが逃げ出してしまうということが後を絶ちません。

キャンプサイトにもよりますが、柵で覆われていたりしても、わんちゃんがすり抜けられる隙間がある場所もあります。

また、キャンプ場がそのまま山や河川などに直結しているような場所もあり、一度脱走してしまうと、探すのがなかなか困難になってしまうこともあります。

最近多いのは、ハーネス型のリードを装着していて、興奮した犬が暴れてハーネスからすり抜けてしまう事例です。

ハーネスを利用する場合には、事前に何度もお家でテストしてみてください。

ハーネスは、余計な隙間がない、わんちゃんの体にフィットしているものなのかを必ず確認しましょう。

また、万が一、脱走してしまった際に見つけた人がすぐに連絡を取れるように迷子札やマイクロチップの登録情報には、必ず携帯電話の番号を記載しましょう。(注意!迷子札は、どんな時でも絶対に装着しましょう!)

愛犬とキャンプに潜む危険その2:蛇、虫、野生動物との接触

キャンプには初めての経験がたくさん!

大自然の中で、わんちゃんがまだ見たこともない生物に触れたり、様々な環境を経験することがキャンプやアウトドアの醍醐味ではありますが、危険な生物に遭遇することもあります。

草木が生い茂っているような場所に入り込んで、出てきたら何かの虫に刺されていた、何かの生物に噛まれて怪我をしていた、ということで来院される方もいます。

緊急の場合や的確な治療を行うためには、何に刺されたのか?、何に噛まれたのか?といった情報が非常に重要になります。

犬はしゃべれませんので、何が起こったかを把握して獣医師に伝えられるのは飼い主さんだけです。

まずは、トラブルが起こらないように、見晴らしが悪く草木が生い茂っているような場所はなるべく避けるようにしましょう。

万が一、別の生物とのトラブルがあった場合でも、飼い主さんが何が起こったかを伝えられるように、きちんと愛犬を見ててあげることが大切です。

また、準備編でもお伝えしたようにワクチンやノミ・ダニ予防などの事前の準備も重要です。

愛犬とキャンプに潜む危険その3:BBQ中の誤食、誤飲

キャンプといえばBBQですよね!
大自然の中でのBBQは格別ですが、意外に多いのがBBQ中の誤食、誤飲です。

普段からきちんとしつけられているわんちゃんでも、自然の中で興奮したり、どこからともなく漂ってくる美味しそうなお肉の匂いに反応してしまう場合があります。

「うちの子は大丈夫」と思っていても、気づいたらBBQに使うはずの肉の袋を漁っていたなんていうことも…

BBQのお肉には串が刺さっていたり、骨がそのまま付いているもの、また玉ねぎなどの犬が中毒症状をおこしてしまう食べ物も一緒になっている場合があるので要注意です。

BBQ中に犬が誤食しやすいものとしては

「玉ねぎ・串・食べ物が包まれているビニール袋・アルコール」などが挙げられます。

誤食することで入院・手術になることもありますので、飼い主さんが気を付けましょう。

なお、いくら飼い主さんが自分たちの食料を注意していても、近くでBBQをしている他の方達は、必ずしも犬への対策をしている訳ではないので、愛犬がふらっとお隣のBBQなどに行かないようにきちんと見ててくださいね。

愛犬とキャンプに潜む危険その4:熱中症、または寒さによる病気

アウトドアでは、いつも以上に熱中症への注意が必要です。

犬は毛に覆われていて、人間より放熱能力が低いので熱中症になりやすい動物です。

犬の熱中症は短時間でも引き起こされ、死亡率も高いことで知られますが、飼い主さんが気を付けることで予防できる病気ですのでしっかりと対策をしましょう。

特に気をつけなければならないのは「真夏」ではなく、少し暖かくなってきた春先や秋口です。

真夏は人間も暑いので気をつけますが、春先や秋口は油断しがちです。

太陽が照っているところでは予想以上に温度が上がってしまうことがありますので、注意してください。

わんちゃんの居場所には日陰を作ってあげよう!

アウトドアでの熱中症予防

  • 日差し除け(テント、パラソルなど)
  • 保冷剤、保冷タオル(首に巻けるものがオススメ)
  • 水入れ
  • ハンディー扇風機、

などを準備して、こまめな水分補給、また愛犬の様子をよく観察し、人間以上に暑さ対策をしましょう。


一方、暑さ対策に比べて、見過ごされがちな犬の寒さ対策。

実は、寒さに強いと言われる犬種でも、暖房の効いた暖かい部屋で育てられていたり、また幼犬や老犬など、寒さへの対応が上手くできないわんちゃんもいます。

寒さにより温度調節が上手くできず風邪をひいたり、持病を悪化させてしまう恐れがあります。

いずれにしても、アウトドアで過ごす時には愛犬の様子をこまめに観察して、その子にあった防寒対策を取るようにしましょう。


アウトドアでの防寒対策

  • ペットクッション(ペットベッド)
  • ブランケット
  • 防寒の洋服
  • 湯たんぽ

などをで寒さ・風から守ってあげましょう。

湯たんぽを使う時は、わんちゃんが「熱い」と思った際には退避できる程度の隙間を確保するようにしましょう。

愛犬とキャンプに必要な持ち物

ホテルと違って、ペット用のアメニティが用意されていたり、すぐ近くに買いに行ける場所がないことも多いので準備は抜かりなくおこないましょう。

わんちゃん用の食料やトイレシートなどは、いつもより多めに持っていくことをおすすめします。

以下はぜひチェックリストとしてお使いください。

愛犬とキャンプ!持ち物リスト

□食器
□フード
□おやつ
□首輪、リード、ハーネス
□迷子札、マイクロチップ(携帯電話番号)
□キャンプ用のドッグアンカー(繋ぐペグ)
□ケージ(折りたたみソフトケージ)
□クレート
□ペットクッション(ベットベッド)
□ブランケット
□トイレマット
□トイレシート
□うんち処理袋(ゴミ袋)
□タオル
□ウェットティッシュ
□消臭スプレー
□予防接種、ワクチン接種証明
□常備薬
□旅先の動物病院
□ペット手帳(病歴、常備薬など)

<夏場>(熱中症対策ほか)
□テント、日差しよけ
□保冷剤
□保冷タオル
□ハンディ扇風機
□蚊取り線香
□虫除けスプレー

<冬場>(防寒)
□ブランケット
□ペットクッション(ベッド)
□防寒用洋服
□湯たんぽ

わんちゃんの居場所をつくってあげよう!

ペットクッションやドッグコット、折りたたみチェアなどでわんちゃんの居場所を作ってあげることで、わんちゃんが落ち着くことができます。

愛犬と旅行に向けて必要な準備とは?(しつけや持ち物)」の記事も参考にしてください♪

獣医師監修【愛犬との旅行】に向けての準備。クレートトレーニング、しつけ、必要な持ち物、便利グッズなど – Withわん | 愛犬お出かけ口コミ(クチコミ)サイト

獣医師・桜井えみ先生が解説する旅行までの準備スケジュール。トレーニング、持ち物の準備は「旅行の前日にすればいい!」というものではなく、時間をかけての準備が必要です。旅先が決まらなくても「愛犬と旅行がしたい!」と思い立った時から、すぐに始めましょう。愛犬との旅行を準備万端で楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。

何かあった時の為に旅先の動物病院を調べておこう

キャンプやアウトドア時に、わんちゃんが危険な目に遭わないよう、予防や対策を見てきました。

しかし、どんなに気をつけていても、予想外のことが起こる場合もあります。

万が一、野生動物・虫に咬まれたり、誤食、誤飲をしてしまったり、急に具合が悪くなったときのために、あらかじめ周辺にある動物病院を調べておきましょう。

かかりつけ病院ではないですので、持病がある・薬を飲んでいる子などはそれらの情報を記載した「ペット手帳」を用意して、獣医師さんに伝えられるようにしましょう。

愛犬とキャンプに潜む危険と対処法・まとめ

いつもと違う環境でわんちゃんも飼い主さんもリラックス!

この記事では、愛犬とのキャンプやアウトドアの際に起こりやすいトラブルや危険などについて、予防や対策などを見てきました。

<準備編>では、キャンプに行くと決まった時からできる準備についてお伝えしました。

  • 必要な予防接種やワクチン
  • ノミ、ダニの予防

<実践編>では、実際にキャンプ場やアウトドアで起こっている事例と対策を紹介しました。

  • 脱走
  • 蛇や虫、野生動物との接触
  • BBQ中の誤食、誤飲
  • 熱中症(または寒さによる病気)

愛犬とのキャンプやアウトドアで、いつもと違う非日常体験ができることは、わんちゃんにとっても飼い主さんにとってもたくさんのメリットがあります。

しっかりと準備をして、起こりうる危険を予防することで、愛犬との楽しい思い出を残せるようにしましょう。

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みんなのキャンプ情報も待ってるワン!

この記事を監修した人
桜井えみ先生(獣医師)
桜井えみ先生(獣医師資格保有ペットライター)

首都圏の獣医学部卒業後、都内の動物病院で獣医師として8年間勤務。現在は、獣医師の資格を持つペットライターとして各方面で活躍中です。

獣医師でペットライターの桜井えみ先生にご質問のある方は、Withわんの「お問い合わせフォーム」 より、お寄せください。
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